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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

ポウちゃんとクウちゃん

今まで本当にたくさんのことがあった。

ポウちゃんと初めて一緒に遊んだのが2006年9月2日。
クウちゃんと初めて一緒に遊んだのが2006年9月4日。
この時は2頭とも入館一年目で、僕も入社一年目。
いろんな動物を研修している時に1ヶ月だけ担当させてもらった。

本当にちっちゃかった。
ゴールデンレトリバーの成犬ぐらい。
なにをするにも遊び感覚で、やんちゃで、真剣で、新人の僕にもすぐ馴れてくれて、セイウチって人間と凄く距離が近いんだと感動した覚えがある。
この感動から小学生相手に行う「教養セミナー」の初めての題材はセイウチについてだった。
それぐらいの衝撃があった。
それまで大きな動物にまったく興味がなかった僕には凄く刺激的な出逢いでした。

1ヶ月の研修終了後、僕は他の動物の研修に移り、そして1年の研修期間終了後、魚の担当に正式に決定してからはまったく関わりがなくなった。
この時、まさかまた一緒に遊べるなんて思ってもみなかった。

時間は過ぎて3年後の2009年10月2日。ポウちゃんとの再会。2009年11月15日。クウちゃんとの再会。
まさか、また一緒に遊べるなんて。
今度は正規担当者になるなんて。
久しぶりの再会のせいか、2頭ともギリギリついてきてくれている状態。
不安だらけの再会でした。

それからはずーっと一緒。
なんとかトレーナーとして認めてもらえるように頑張った。
毎日毎日やんちゃに振り回されたのも良い想い出。
ドンドン大きくなっていく2頭を見守り続けた。
はじめは緊張とストレスと声帯ポリープとの戦いで、正直全然楽しめていなかったショーも少しずつお客様にセイウチを伝えられるようになってきた。楽しくなってきた。
2頭もとりあえずは認めてくれたような気がしてきた。
これからだ!って時に一緒に担当していたお兄さんお姉さんの引退。

泣いた。
ポウちゃんクウちゃんの前で毎日のように泣いた。
2頭とも不思議そうな顔をしてこちらを見てたね。
2頭をこれから元気に育てて行けるか凄く不安だった。
もう1人一緒にやっていたベテランさんと毎日格闘しながらなんとかやっていた。

あの頃は毎日毎日遅くまで一緒におしゃべりしたよね。
ポウちゃんは特に一緒におしゃべりしてくれたね。
僕の不安をぬぐい去るように毎日のように相手してくれた。
先輩たちの引退から今日までの約三年間大きな病気もなく、怪我もなく、健康に育ってくれた。
ショーでもしっかりついてきてくれた。
僕の無茶ブリにも上手く答えてくれた。
2頭とも凄く頑張ってくれた。
そのお陰か、沢山のお客様から「楽しかったよ」「面白かったよ」「セイウチショーのために~からわざわざ来たよ」「何回見てもおもしろい」「入館料高いけど、セイウチショーの為なら払えるよ」たくさんたくさん嬉しい言葉をいただけたよ。
それもこれもみんなポウクウの頑張りのおかげだよ。
本当にありがとう。
セイウチショー見ていただいた多くのお客様が、ポウクウを好きになってくれてるよ。
君たちは凄く魅力的なんだ。

そんな2頭も今日で10歳。
長かったようであっというまだった。
「ポウちゃんは5歳で470キロでーす!」が、
「ポウちゃんは9歳で950キロでーす!」に変わってるんだよ。
嬉しいなぁ。
本当に嬉しい。
言葉に出来ないほど嬉しい。
涙が止まらない。
なんでかな。

今年は大人の階段を登ってるせいか、発情が凄かったね。
ショーは出来ないけど、2頭の子どもが見れる日も近いのかな。
まだまだ子どもだと思ってた君たちがもう大人になるのか。
寂しい気もするけど凄く楽しみだよ。

今まで本当にありがとう。
これからも元気いっぱい大きくなってね。
やんちゃに遊ぶのも良いけど、あんまり物を壊さないでね。
ぐーたらするのも良いけど、体調不良かと心配になるからしっかりご飯は食べてね。
いろいろ変化がある年になると思うけど、のびのびと今まで通りでよろしくね。
君たちには本当に苦労をかけてるけど、これからもセイウチという生きものの魅力を日本のみんなに発信し続けてね。

ちゃんと気持ちを、言葉を、文字に、形にしたかったから「飼育日記」に残していくよ。

ポウちゃんクウちゃんに出会えて本当によかった。
お誕生日、おめでとう。

P.S
あ、鳥羽水族館60周年記念日です。

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