飼育生物約1,200種を掲げる鳥羽水族館では、生物の入手手段として、業者からの購入に加え、職員自らによる採集活動が大きな役割を担っています。
さらに、採集の際に持ち込まれた沈木や岩などに付着していた、水槽内で“突然出現した”生きものたちも、飼育種の一員として大切に扱っています。
そんな“新入(あるいは侵入?)生物”の存在を確認するべく、日々、水槽の見回りをしています。
多くは一期一会の出会いですが、時に長期飼育につながったり、生態の新たな発見につながったりすることもあります。
今朝、水槽の点検中にふと目に入ったのは、先月の沖合底引き網調査(水深370m)で回収した沈木の表面にいた、1㎝ほどの見慣れない“ニョロ系”生物。
さっそく拡大撮影を試みると…おおっ!初めて見るゴカイです。おそらくサシバゴカイ科の仲間と思われます。
頭部から伸びた触手鬚が、まるでスーパーサイヤ人(笑)なかなかインパクトのある姿をしています。
この個体は、沈木の表面を這うように移動し、やがて木の陰へと静かに姿を消していきました。おそらく、この沈木に強く依存して生活しているものと思われます。
再び出会えるかはわかりませんが、この飼育日記に記録を残し、ひとまず1種としてカウント。
どんな小さな出会いも未来の新発見につながるかもしれません。
【飼育研究部 森滝丈也】