前回のベルベットサンゴの話で少し触れたアナサンゴモドキの仲間。左側の茶色部分がそれですね。これは、被覆するサンゴのように見えて、実はサンゴの仲間ではなく、ヒドロ虫類なのです。
綱レベルでグループが異なるので、わかりやすく例えれば、魚と哺乳類のレベルで違います。分類学的には、むしろイソギンチャクの方がサンゴに近いですね。
さて、それはそうと、このアナサンゴモドキ類は英語でファイヤーコーラル(火炎サンゴの意)と呼ばれています。それは、刺胞毒が強烈で、刺されると場合によっては火傷したように痛むからで、海中の危険生物としてダイバーなどにはよく知られた存在です。
水槽掃除でも、不用意に触れるとやられることがありますね。このモジャモジャした部分が刺胞毒のあるポリプ↓
ところで、先日、ネット検索していて「サンゴを捕食することで悪名高いオニヒトデはアナサンゴモドキの仲間だけは苦手だ」という情報を見つけましたが、あれ?と思いました。当館で飼育しているマンジュウヒトデはこのアナサンゴモドキを食べています。むしろ好んで食べている印象もあるぐらい。
もし、マンジュウヒトデがオニヒトデが嫌うアナサンゴモドキを選択して餌の奪い合いを避けているとしたら興味深いですね。
ちょっと調べてみたいと思います。
【飼育研究部 森滝丈也】