テンプライソギンチャク はカイメンの仲間(ノリカイメン属の一種)と共生する珍しい生態を持つイソギンチャクです。
興味深い生態に加えて、これまでに神奈川県の三浦市、新潟県の佐渡島、鳥羽を合わせた3地点でしか生息が報告されていないこともあり、当館では新種記載された2018年からへんな生きもの研究所で常設展示しています。
さて、テンプライソギンチャクを長期間飼育していると、徐々に周囲のカイメンの方が痩せて(萎縮して)いきます。
そこで積極的にエサ(アルテミア孵化個体)をテンプライソギンチャクに与えるようにしています。
すると、カイメンがどんどん成長していきます。
例えばこんな状態のカイメンが…
たった6日間でこんな感じ↓↓
実はカイメンはアルテミアのサイズのエサは食べることはできないので、何らかの形でイソギンチャクから栄養分を受け取っているのではないかと推察しています。実際のところはどうなのでしょうか?
一方、イソギンチャクの方は積極的に給餌しても体のサイズや個体数に変化がないようにも見えますが、どうやら栄養状態が良くなれば「イモムシのような分裂個体」をどんどん形成するようです。
この分裂個体は周囲を這いまわり、カイメンに到達するとそこに潜り込んでイソギンチャクの姿に変化することが確認されています。
ユニークな生態は非常に興味深いです。
【飼育研究部 森滝丈也】