先週の土曜日、館内でアンモナイトとオウムガイ好きの姉弟(小学3年生と5歳)とお話する機会がありましたが、後日、2人からこんな素晴らしい絵が届きました。特徴をよく捉えていますね。
さて、そんなオウムガイ。
祖先は古生代カンブリア紀の終わり(約5億1000万年前)に出現しました。その姿は現生のものとは異なり、まっすぐな殻と5対(10本)の腕、発達した目を持っていたと考えられています。
実は、殻以外の化石として残らない軟体部は過去に鳥羽水族館が協力した研究結果から推察されたものです。
過去の共同研究から、オウムガイの胚は将来、腕となる原基を5対持っていることが明らかになっていて、これが発生の過程で頭部を覆う頭巾や腕に分化していきます。このことからオウムガイの祖先は5対の腕を持っていたと推察されました(ちなみにオウムガイの腕はオスで66本、メスは90本前後もあります)。
また、オウムガイの目はレンズを持たない「ピンホール」構造ですが、遺伝子を調べた結果、レンズを形成する遺伝子自体は存在するもののそれが発現しないためにレンズが作られない可能性が示唆されました。このことからオウムガイの祖先は発達した目を持っていたが、進化の過程でレンズが消失したと推察されたのです。
このようなことをわかりやすく伝えてオウムガイ好きを増やすことは、私の大きな使命だと常々感じています(笑)
【飼育研究部 森滝丈也】