当館のキャッチフレーズは飼育生物種類数日本一(1200種)。この数をキープするのはなかなか大変なので、知らないうちに紛れ込んだニューフェイスを見つけると嬉しくなります。
先月の飼育日記で紹介した「正体不明の二枚貝」もそんなひとつ。これは昨年9月に熊野灘の沖合底曳き網採集で水深200-500mあたりで採集したもので、泥岩に3個体が付着していました(大きさは幅0.5-1.5㎝ほど)。
そのうちの2個体は今も飼育継続中です。
右側の殻で泥岩に付着し、左の殻は小さな棘でびっしりと覆われています。
少し地味ですが、拡大すると珍奇生物感があって魅力的ですね。興奮します。
こちらは少し小さめの別の個体
全体的な特徴からナミマガシワ科だとは推測できるのですが、種類は全く不明…。それでも飼育生物として扱うには、ある程度分類を明らかにしておきたい。
そこで、国内外の貝の研究者、3名に直に問い合わせてみました。結果、3名共に「ナミマガシワ科の一種である」との回答でした。
また、種に関しては、お一人は「未報告の種類だろう」、他のお二人は「北大西洋から知られるHeteranomia属に似ている」との返答を頂きました。このHeteranomia属は日本からは知られていない属なので、いずれにしてもこれまで知られていない貝である可能性は高そうです。
また何か新情報があればお知らせします。
【飼育研究部 森滝丈也】