キンチャクガニはハサミ脚にイソギンチャクを挟む習性が有名です。このイソギンチャクは食事の時も離すことはなく、餌はハサミではなく脚を使って食べます。イソギンチャクは防御のための武器に利用すると考えられています。
さて、へんな生きもの研究所にいる2匹のキンチャクガニも入館以来ずっとそれぞれ自分のイソギンチャクを持っていました。
ところが、休み明けの今朝、水槽を見て驚きました!
先日まで持っていたイソギンチャクが無くなっているじゃないですか!それも2匹とも。
1匹はかろうじて片方のイソギンチャクだけは残っていましたが、もう1匹は両方とも無くなっています。一体どこに…
ところが、よく見るとイソギンチャクを2つとも無くした個体は左のハサミに何かを挟んでいます。
…これは!
サカサクラゲのエフィラ幼生(赤ちゃん)じゃないですか!
どうやらフワフワと泳ぐエフィラを捕まえて(?)イソギンチャクの代用としたようです。
こんな風に、キンチャクガニがクラゲ(エフィラ)を利用する例は私は聞いたことがないので、もしかしたら珍しい記録かもしれません。
この水槽にはクラゲのポリプがたくさんあるわけではなく、エフィラ幼生もほとんど泳いでいないのに、どうやって見つけて、捕まえたのか謎です。
そして、このエフィラはこのあとクラゲに成長できるのかも気になります。
【飼育研究部 森滝丈也】