テヅルモヅル類は腕が細かく枝分かれしている姿が特徴的ですね。
この枝分かれした腕を伸ばして水中を漂うプランクトンや小魚を捕まえます。同じクモヒトデの仲間と同様、盤の近く(基部)の腕は5本ですが、そこから無数に分岐しているのです。でも、同じようなパターンで枝分かれしているのではなく、どうやら摂餌用と固着用とに機能分化しているようです。摂餌に使う腕はより長く、枝分かれが細かい、といった感じでしょうか。
特に、サメハダテヅルモヅル(Astroboa arctos)はその違いがはっきりわかるので、いつか記録写真を撮影したいと思っていましたが、あいにくサメハダテヅルモヅルは昼間には岩陰に隠れて姿を見せることも少なく、腕も広げません。夜になると水流の当たる場所で出てきて腕を大きく広げて摂餌しますが、撮影しやすい場所に出てきてポーズを決めてくれることは滅多にありません。
それが先日の宿直で、ばっちり観察(撮影)しやすい場所を陣取ったサメハダに遭遇!
これはシャッターチャンス!
摂餌用に大きく伸ばしたレースのような腕と、根っこのような固着用の腕の違いがよくわかりますね。かなりダイナミックで美しいので、皆さんにもぜひ見ていただきたいのですが…残念ながらテヅルモヅルのこの姿は夜限定なのです。
【飼育研究部 森滝丈也】