先日の木曜日は熊野灘の沖合底引き網漁船に乗せてもらい、朝5時から夕方5時まで生物採集。
今回は漁船が目当てとする魚(アオメエソやムツなど)の獲れるポイントからほとんど移動しなかったので、5回の曳網で獲れた生物種はほぼ同じ。
水族館としては色々な生物が採集できた方がありがたいのですが、これはこれで仕方がありません。無脊椎動物はウデナガゴカクヒトデばかりが大量に採集できました。
まぁ、これも良い機会だととらえてウデナガゴカクヒトデに寄生するシダムシの寄生率を調査することにしました。
ここでシダムシを知らない方に解説を…シダムシはヒトデの体腔に寄生する甲殻類で、日本から正式に報告されているのは3種類です。これまでに熊野灘の漸深帯からの報告はありませんでしたが、2015年に未知のシダムシを見つけ、今、研究者と一緒に研究を進めています。
ウデナガゴカクヒトデのシダムシは寄生率が低くかなり珍しい種類です。
今回、水深250-280mで採集したウデナガゴカクヒトデを確認したところ、シダムシに寄生されていたヒトデは4匹だけ(寄生率は1%ほど)。やはりこのヒトデに対するシダムシの寄生率はかなり低いようです。
今回採集した4匹はこちら。
2015年の発見以来、ウデナガゴカクヒトデから見つかったシダムシはこれで総数20匹になりました。
【飼育研究部 森滝丈也】