皆さんにもタコブネの姿を見てもらいたかったので残念です…。
さて、最近ではよく知られた話かもしれませんが、実はタコブネの殻を持つのはメスだけで(殻は卵を保護するためのもの)オスは殻を持ちません。オスはメスよりも小型だと考えられていますが、ほとんど姿が確認されたことがないようですね。画像を探してみても見つかりません。
そんなタコブネのオスですが、交接の際、ユニークな行動をとることが知られています。挿入した交接腕(精子を持っている)を切断してメスの体内に残すことで、体内授精を行うのです。
今回の個体も確認してみると、外套膜の中から(タコの胴体の部分)オスの交接腕が見つかりました(矢印)。発見場所不明の1本(解剖途中にいつの間にか出現していた…?)を含めると、今回2本の交接腕を確認しました。
タコブネは10月に採集されることが多いですが、この時期に沖合で交接するのかもしれません。ちなみに今回の個体はまだ未熟で卵は持っていませんでしたが、2年前の12月に入館した個体は殻の中にたくさん卵を産み付けていました。
【飼育研究部 森滝丈也】