「いつもお世話になってばかりで申し訳ありませんが、またヒトデの種類を教えていただきたくメールした次第です。」
このヒトデは先月5月の沖合底引き網採集で、尾鷲沖 水深150mから採集しました。
不思議なもので、似たような姿のヒトデがいくつもいる中、この1匹が私の視界にすっと飛び込んできたのです。
採集直後に飼育日記でも紹介しましたが、こんなヒトデを採集したのは初めてのこと。
それで、知り合いのヒトデ研究者に問い合わせることにしたわけです。
「モミジガイの仲間だと思うのですが、該当種にたどり着けません。実物を見なければ判断は難しいかもしれませんが、お手すきの際にご教示いただければ幸いです。」
すぐに返事がありました。
「こちらこそご無沙汰です。また珍しいものを!私も見たことありません。文献当たってみます。」
おぉ!ヒトデの研究者がすぐに正体がわからないのであれば、このヒトデはレア種に違いない。
期待は否が応でも高まります!(笑)
残念ながら、このヒトデは問い合わせ直後に死亡したので標本に固定しました。
そして本日、ヒトデ研究者さんから待望の返事が届きました!
「ご無沙汰しております。先日まで乗船調査にて、お返事遅れましたことお詫び申し上げます。さて、ご紹介のモミジガイ類ですが、おそらくTethyaster属の1種と思われます。本属ヒトデ類は本邦から未報告です。太平洋産2種(Tethyaster aulophora ,Tethyaster tangaroae )に近縁と思われます(後略)」
おぉ!
なんとこのヒトデは日本では採集記録のない珍しい種類だったのです(そんな気はしていましたが)
Tethyaster属は太平洋ではフィリピンや台湾あたりに生息しているようです。
これからさらに調べて、種名を特定したいと思います。
【飼育研究部 森滝丈也】