先日紹介したアミ(エビに似た小型の甲殻類)の続きです。
予備水槽で自然繁殖しているので、好奇心で正体を突きとめようとしたもののこれがなかなか難しい…(アミ類の同定をしたのは今回が初めてでした)
それでも研究者の助言を仰ぎつつ、どうやらヤドリアミ属Heteromysisの仲間のようだ、というところまでたどり着きました。
ちょうど2日間休みだったので論文や資料を読んでいましたが、どうやら日本では現在ヤドリアミの仲間は5種類が知られているようです。
そのうちの2種は和歌山県の水族館の水槽から見つかった標本をもとに新種記載された、とか。
へぇ、面白い。
じゃ、今回のアミもそれかな?と思ったのですが…2種とも特徴が一致しません。う~ん。
でも、なんだかんだで、結局、2002年に新種記載されたHeteromysis japonicaという別のヤドリアミの特徴と一致。
↑こんな、細かな部分を比較していくわけです(説明は省略しますけど)
ところで、このHeteromysis japonicaは大阪湾や瀬戸内海、長崎で採集された標本を元に新種記載されたのですが、記載論文を読んでも特徴的な背甲の白線についての記述は見当たりません。
これ、生きている時はすごく目立つんですけどね…気が付かなかっただけなのでしょうか?
不思議に思いつつ、あらためて観察すると…
どうやらこの白線は色素胞が広がったり縮むことで、現れたり消えたりするみたいです(緊張すると消える?)
光を反射して白く見えるので、下から光をあてる(透過光)と、陰になって黒く見えます。
もしかしたら、標本を見て記載したから白線に気付かなかったのか。
または、この鳥羽のヤドリアミはよく似た別の種類で、本当のHeteromysis japonicaはこんな白線を持たない可能性もありますね。
ただ、それを証明するためには大阪湾や長崎で生きたHeteromysis japonicaを採集して比較しなければいけないわけで…
そんな時間は、今はないのですけど(笑)
いつかまた。
【飼育研究部 森滝丈也】