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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

新称和名「ヤマトイシダタミヒトデ」

このたび、2014年1月に熊野灘の漸深海帯で採集された珍しいヒトデ Lithosoma japonica Hayashi,1952 に和名が提唱されました。

ヒトデの分類を専門とされている日本海区水産研究所の木暮陽一さんとの共著論文になります(ヒトデの採集と標本の提供で協力させていただきました)

Yoichi Kogure and Takeya Moritaki, 2016. Rediscovery of a rarely encountered sea star, Lithosoma japonica(Echinodermata, Asteroidea, Goniasteridae), from southeastern Japan. Biogeography 18. 17–22.

 

以前、飼育日記でも紹介しましたが…

このヒトデ は、過去に紀伊半島沖で採集された2つの標本を元に新種記載がされたものの、それ以降、採集の公式記録はありませんでした。

それが、新種記載から60数年後の2014年、いつもお世話になっている魚類取扱い業者さんを通じて名前のわからないヒトデとして水族館に持ち込まれ、気になって、小暮さんに問い合わせたところ、とても珍しいヒトデだと判明したのです。

その時のいきさつについてはこちらhttps://aquarium.co.jp/diary/archives/9291

 

その後、沖合底引き網漁船に乗船した際にも、偶然このヒトデを自分の手で採集しましたが、あの時は本当に興奮しましたねぇ(笑)

この2014年の2匹は生きた状態で採集されたので、このヒトデの生存時の色が初めて明らかになり注目を浴びました。

うすい橙色をした五角形のヒトデです。ちなみに学名の LithosomaはLitho(石の)soma(体)、japonicaは(日本の)という意味ですね。

 

その後、大阪市立自然史博物館の収蔵標本の中にも1996年に駿河湾で採集された本種の標本があることが判明しました。

これでこれまでに確認された本種は計5個体となり、今回紹介した論文中で本種の新産地の報告と和名が提唱されました(これまでは学名だけでした)

新称和名は「ヤマトイシダタミヒトデ」です。

良いですねぇ~新しい名前がつく瞬間って(笑)

 

2014年以降はこのヒトデに遭遇していませんが、願わくばもう一度生きた状態で採集し、へんな生きもの研究所で長期飼育に挑戦したいなぁ…なんて言葉にしたら実現できそうな気がする(笑)

【飼育研究部 森滝丈也】

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