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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

アオリイカ産卵の不思議

釣りバカ飼育員つじです。

飼育しているアオリイカについて興味深いことがありました。

まずは簡単にアオリイカの一生を説明します。

春:産卵→夏前:ふ化→夏秋:めちゃくちゃ餌食べて成長→翌年の春:産卵

そして産卵を終えた個体は死亡します。

このようにアオリイカの一生は1年です。

さて、産卵期がざっくりと春と書きましたが、近年の海水温の上昇が関係しているのか、

真冬でも、孵化後間もないような個体が自然下で採れます。

先日も胴長が15cmに満たないような個体が搬入されました。

私たちは展示水槽に出す前にバックヤードで様子を見てから展示水槽に投入します。

で、先日古株の個体に喰われないかおそるおそる投入完了をしたわけです。

(体の大きさに差があるとアオリイカは同種でもエサと見なして共食いします)

何とか喰われずにほっとして、1週間後バックヤードの水槽を見ると・・・。

なんと、小さな新入のアオリが産卵したであろう、卵塊を確認したのです。それも受精卵。。。

その水槽には今回のアオリイカしか入れていません。ということはあの小さなアオリイカが産卵したのです。

大変驚きました。

というのも、私自身、プライベートで今までに500ハイ以上は確実に釣って見てきましたが、

あの大きさで性成熟した個体は見たことがありません。

こちらは先日釣ったアオリイカのオス(胴長20~25cm 体重約600g)です。

今回産卵した個体よりも約3倍の大きさですが、性成熟は確認できませんでした。

もしかしたら、メスはオスよりも体が小さいときから性成熟を果たすのでしょうか?

だとしたら、性成熟したオスとの体格差が有りすぎてしまいます。そうなると、

前述の通りメスをメスと認識する前に共食いしてしまう可能性も考えられます。

現在、この個体は展示水槽にて飼育していますので、今後注意深く観察していきたいと思います。

飼育研究部 つじ

 

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