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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

バナナムシはそろそろ終わりでしょうか…

昨日は宿直明けで仕事は昼あがりの予定でしたが、状態の良い「バナナムシ(仮称)」が現れたので少し居残って観察をしていました。

バナナムシ…個人的に今いちばん気になっている生物で、正体不明のクモガタウミウシの寄生虫です。

飼育日記でしつこく紹介しているので皆さんも既にご承知のはずですが、生物学の先生/専門家にたずねても未だ正体は全く不明という…。

 

今回観察した個体はこちら。左が進行方向(前方?)

全長およそ2cm、体表は比較的なめらかで、移動時に前方の先端がやや尖ります。

ミミズのような体節はありませんが伸縮時に「くびれ」ができますね。特に後端近くが強く「くびれ」ます。

画像では判りにくいのですが後端に穴(肛門?)があります。

さらに後端近くに色が抜けて見える部分があり、そのすぐ脇からこれまた色が抜けた感じのV字の線(溝?)が先端に向かって走っています。

おそらくこちらが背面。

そして今回、腹側に小さな裂け目(裂孔?)があることに初めて気が付きました。この裂け目あたりに前回紹介した細かな細胞塊が集まっていたので、粘液と一緒に分泌しているのでは?そんな印象を受けました。ちなみに前端に口らしき開口部は確認できていません。

簡単な図で示すとこんな感じ。

ところで、先週から今週にかけて水槽のクモガタウミウシからかなりの数のバナナムシが出現したと前回の日記で書き込みましたが、その影響か先週あたりからクモガタウミウシがポツポツと死にはじめています。

先ほども死亡の連絡がありました(私は本日は休みを頂いています)

これでクモガタウミウシは残り1個体になりました。

バナナムシの出現もそろそろ終わりが近づいているようです…

本格的に正体解明に動き出さねば。

 

クモガタウミウシも普通種ですし、複数個体から見つかったので「バナナムシ(仮称)」は決して珍しい生きものではないと思うんですけどね。なぜ報告例が見当たらないのでしょうか…

【飼育研究部 森滝丈也】

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