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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

飼育日記を読んでくれ

昨日の昼過ぎ、謎のクモガタウミウシの寄生虫「バナナムシ(仮称)」を顕微鏡で観察していると、ナメクジウオですか?と入社2年目のO君が覗きこんできました。

いや違うし。クモガタウミウシの寄生虫だけど…

知らない?最近よく飼育日記に書き込んでるんだけどなぁ。え?飼育日記読んだことないの?

って読んでくれよ…(苦笑)

この飼育日記はお客様のためだけではなく、職員に向けて報告書(回覧板)的な意味も持たせて書き込んでるんですよね。

あくまでも個人的なキモチとしては、ですが。

あと、個人的には備忘録、データベースとしても利用しています。

 

特に無脊椎動物は飼育スタッフであっても気付きにくいネタが多いし、毎日の出来事を事細かに伝えることは難しい/面倒だから、頻繁に書き込むようにしています。

だから、知識を増やすためにも若いスタッフには積極的に読んでもらいたいんだけどなぁ…

 

さて。今週はその謎の寄生虫「バナナムシ(仮)」がたくさん出現しました。

それこそ、もうポロポロと…毎日のようにクモガタウミウシから這い出てきていました。

這い出て底砂の上で袋を形成したものを拾い集めて並べてみると…少しグロい(笑)

夏休みによくやる、セミの抜け殻を集めたような感じ。

このバナナムシは寄生虫だろうけど、クモガタウミウシはおそらく中間宿主でしょうね。

クモガタウミウシの体から出て袋(被嚢)を作ったあとに最終宿主に食べられるかして最終的にそいつに寄生するんじゃないかなぁ…と推測しています。

「そいつ」が何なのか、現時点では全くわかりませんが。

 

興味深い特徴。

バナナムシ(仮)は、ウネウネと活発に動き回りつつ、体表の細胞?がポロポロと崩れ落ちていきます。

細胞?の大きさは8~12μmほど。

これもあまり他の生きものでは思い当たらない特徴のような…

クモガタウミウシ自体ごくごく普通のありふれたウミウシなのに、バナナムシ(仮)についてこれほど情報がないのはかえって不思議なくらい。

正体は何だろう?

 

(追記)その後、おおよその正体が判明しました(2015年6月)

Fecampia属の寄生性ウズムシ類でした。この仲間は宿主から這い出るとコクーンを形成し、その中で産卵します。

【飼育研究部 森滝丈也】

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