先日、生物の買い付けに出かけてきました。場所は三重県の志摩半島の先端にある御座という集落。
漁師さんが取り置いてくれた魚類やカニやヤドカリなどの無脊椎動物をまとめて買い付けます。
漁師さんからいただいた生物の中に見かけないものが…
それはこちらのサンゴ。エダミドリイシAcropora pruinosaだと思われます。
サンゴ(造礁サンゴ)と言えば、沖縄のような熱帯の海を想像すると思いますが、実は本種は典型的な温帯種。九州から四国、本州にかけて分布します(沖縄には分布しません)。
とは言え、本来はやはり黒潮の影響を受ける比較的温暖な海域限定。三重県内では和歌山県に近い東紀州地方が本種の分布域(県内の北限)として知られています。
それが、最近では温暖化なのか黒潮大蛇行の影響なのか、志摩半島でもエダミドリイシが増えてきているようです。
イセエビ漁の刺し網が破けて困ると漁師さんがおっしゃっていましたが、気候変動に伴って海の中も少しづつ様変わりしてるのでしょうか。
ふと、エダミドリイシを見ると、小さなサンゴガニの仲間が隠れていました。このカニはサンゴと共生する種類なので、どうやらサンゴの生息域拡大に伴って、こちらも生息域を広げているようですね。
【飼育研究部 森滝】