本日は熊野灘漸深帯底引き網採集に行ってまいりました!
いつもお世話になっている甚昇丸さんに乗せていただき、早朝3時から夕方まで。
展示生物の採集はもちろんですが、熊野灘にどのような生物が分布しているかも調査します。
今回はその中でも特に面白い(興味深い)ものをいくつか紹介します。
まずは、ニチリンヒトデの歩帯溝にAsteromyzostomum属スイクチムシを発見!紀伊長島沖水深300m
ニチリンヒトデを採集した時にすぐに口の脇からオレンジ色したものに気付いていたのですが、内臓か生殖巣がはみ出ているかと思っていました。後で見返してのけぞりましたよ(笑)
スイクチムシはヒトデに寄生する多毛類(ゴカイの仲間)ですが、このAsteromyzostomum属は特に珍しく、北極や南極から5種が知られていますが、これまでに日本近海から見つかったという正式な報告はありません。
ところが、昨シーズンにも一回だけ熊野灘の沖合底引き網でこの仲間を採集したことがあります。
寄生していたのはトゲニチリンヒトデ。今回はニチリンヒトデから見つかっています。
体色は違いますが、果たして同種のスイクチムシなのでしょうか?
調べてみなくては。
紀伊長島沖水深140mで採集。
網のそばに転がっているのを偶然見つけたのですが、すぐにピンときた自分の眼力を褒めてあげたい(笑)
これはカセミミズの仲間(溝腹類)です。
ミミズといえば確かにミミズっぽい姿をしていますが、カセミミズ(溝腹類)は海にすむ原始的な貝の仲間(軟体動物)で、細長い虫のような姿をしていて、貝殻はありません。
体の前端に口がありますが、目や触角、エラは持ちません。ヤギ類(腔腸動物)に巻き付いてそのポリプを食べています。
このグループはあまり詳しく調べられていないようで、日本近海ではまだまだ新種が発見される可能性があるようです。
続いてこちら。
最初に目にした時は、日本で未発見の「チンウズムシ類」かと、一瞬だけ興奮しましたが、どうやらヒモムシの類のようです。
でも、これもこれまでに採集したことがない種類ですね。
残念ながら自切していて後半分しか残っていませんが、からだの大きさに驚きました。
これはこのまま標本ですね。
他にも色々と興味深い(マニアックな?)生物が採集できました。
夜、へんな生きもの研究所にいくつか展示しましたが、その脇で12号と23号がメンチ切ってました。なんでやねん(笑)
【飼育研究部 森滝丈也】