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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

ソメラ2号はモノケラでした

本日もここでは通常運転、相変わらずのネタです。

ほとんどの方の興味の対象にも話題にもならない内肛動物、ロクソソマ類が好きです。

 

先日の宿直では巡回までの時間つぶしにロクソソマの論文を持ち込んで読んでいました。

現在ロクソソマ属には25種類が知られていますが、その全種類の模式図が同縮尺で掲載された頁を見て、ひとり悶えていました。

か、かわえぇ~!!(笑)

様々な形をした魅力あるロクソソマたちが一堂に会して紹介されているとワクワクします(図鑑好きなので)

25人のアイドルを見る気持ちです。

 

さて。

これとは別の論文では見覚えのあるロクソソメラ属が紹介されていました(ややこしいですがロクソソマ科というカテゴリーの中にロクソソマ属、ロクソソメラ属、ロクソソミトラ属などが含まれます)

生物学では、見知らぬ生物はその形質について記述した論文を発表して初めて「新種」として認められます。見覚えのあるロクソソメラが載っていたのは、沖縄で採集されたLoxosomella monocera(ロクソソメラ・モノケラ 和名なし)の記載論文でした。

これが、最近、水族館の予備水槽で見つけたソメラ2号(Loxososomella sp.2)の特徴と一致していたのです。

 

いちばん大きな特徴は萼部に一本の突起を持つこと。

あらためて以前撮影した画像を確認すると…確かにあるわ(矢印)ちなみにモノケラは「一本ツノ」の意味があります。

幼体(無性生殖)の形態やサイズも一致。

ずっと名前を調べてきたので、スッキリしました。

鳥羽水族館で初めて種名が確定できたロクソソマ類です。これで大手を振って飼育生物として扱えますね(笑)

さて。

繁殖力旺盛、個体数が安定しているこのモノケラに対して、かなりヤバいのがオニダルマオコゼの体表で見つかったロクソミトラ属の一種(通称 ミトラ1号)です。

もう、水槽内から完全に消滅する寸前まで個体数が減少しています。

 

実は、ロクソソメラ属が120種ほどいるのに対して、こいつの仲間ロクソミトラ属は世界中で確認されているのがわずか5種ほど。

おそらくこいつも未記載種の可能性が高いと思われます。

 

正式に学名が付けられるまでは水槽内から消えてほしくないと、なんとか消滅を食い止めようとしていますが…

今のところ効果なし。姿が美しくてお気に入りなんだけどなぁ。

あぁ早く記載論文を…

【飼育研究部 森滝丈也】

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