今回は飼育動物ネタではありませんが、少し前にこんなことがありました。
興奮した様子でラッコ担当のIさんが持ってきたのはスルメイカのゲソ。ラッコの給餌直前に気付いたそうです。
こ、これは…珍しい!皆さん、お分かりでしょうか?触腕がつながって「セルフ・イカリング状態」になっています。こんな触腕、初めて見ました。

ご存じでしょうが通常はこんな姿↓ 長い腕が触腕です。
スルメイカを含むイカ類にとって触腕は餌を捕獲するために使う大事な器官のはず。こんな状態で、これまでどうやって生きてきたのか…不思議でなりません。
そして、どうしてこんなイカリング状態になったのか…?それも不思議。
あくまで推測ですが… 実は、生まれたばかりのスルメイカの赤ちゃん(パララーバ)の触腕は一本の吻のようにくっついているそうです。その後、体が数㎜に成長すると触腕の先端と根元が少しずつ分かれて、二本の触腕になるとか。おそらく、この過程がうまく進まず、イカリング状になったのではないかと考えられます。
いずれにしても、Iさんも私も、こんなイカリングの触腕を見るのは初めて。
メイが食べるはずだった60gのイカゲソでしたが、珍しいので標本として保存することになりました。
【飼育研究部 森滝丈也】






