ウオノエの仲間は魚類に寄生する甲殻類で、世界で47属391種が知られています。成長の過程で大きく姿を変えるため、魚体に寄生する成体に比べ、孵化直後から遊泳生活を送る幼生の姿はほとんど知られていません。
今から3年前、熊野灘の沖合底引き網で採集したトリカジカエラモグリが多量のマンカ幼生を放出しました。体長は約3mm。本種のマンカ幼生を見るのは初めてで、孵化を確認した時は興奮を抑えきれませんでした。
鮮やかな黄色の体色で、尾びれのように広がった第5腹肢を使って活発に泳いでいました。こんな形のマンカ幼生は他で見たことがありません!
よく見かけるウオノエ類のマンカ幼生はこんな姿(タイノエ)
ちなみに、トリカジカエラモグリの成体はこんな姿で、トリカジカの鰓腔内から見つかります。

当時、すぐに飼育日記に載せましたが、並行して知り合いの研究者に標本と飼育情報を提供した結果、今回、共著で論文として発表されました。
英文ですが、興味ある方は是非お目通しください。Description and short ecological notes of manca of <i>Sandythoa moritakii</i> (Isopoda: Cymothoidae)(外部リンクになります)
本種は学名に私の名前が付いていることもあり、特に思い入れのあるウオノエ類です。
【飼育研究部 森滝丈也】






