熊野灘の水深300mあたりで採集されるヒメキンカライソギンチャク。
古くからその存在は知られていましたが、実は、分類学的な研究は進んでおらず、正確な種類は長らく不明のままでした。
今回、イソギンチャクとヤドカリの研究者グループとの共同研究で、本種はこれまで知られていた種とは異なる特徴を持つ未知の種(新種)であることが明らかになりました!
論文はアメリカの科学ジャーナルThe Biological Bulletinに掲載され、2022年4月26日付けで公開となりました。
和名はそのままで変わりませんが、学名は小説「Howl’s Moving Castle(日本語タイトル: 魔法使いハウルと火の悪魔)」に登場する火の悪魔「カルシファー」に因んで、Stylobates calciferとなりました。
また、このヒメキンカライソギンチャクはヤドカリと密接な共生関係にあり、ジンゴロウヤドカリが入った貝殻を土台にして、自ら貝殻のようなものを作り出していく興味深い生態が知られています。
ヤドカリにとっては引越ししなくても住まいがどんどん大きくなるわけで、引越し回数が少なくなる利点があると考えられています。
イソギンチャクが作り出した偽の貝殻 ↓
現在は飼育していませんが、展示した際は改めてお知らせします。
【飼育研究部 森滝丈也】