テンプライソギンチャク はカイメンと共生する珍しい生態を持つイソギンチャクです。2006年に神奈川県三浦市の磯で初めて見つかり、2018年に新種記載されています。当館では2018年からへんな生きもの研究所で常設展示しています。
このテンプライソギンチャクは普段はノリカイメンの一種と共生していますが、時々、イモムシのような姿をした匍匐個体(ほふくこたい)が出現してカイメンから抜け出すことが明らかになっています。
今朝、久しぶりにこの匍匐個体を見かけました(矢印)
この匍匐個体の出現パターンはどうやら2つあって、1つはイソギンチャクの下部がちぎれて出現する場合(無性生殖・矢印)
もう1つはイソギンチャク1匹そのものが変形する場合があるようです。
今回の匍匐個体がどちらかなのかはっきりしないのですが、イモムシのようにゆっくりとカイメンから離れていきました。おそらく別のすみかとなるノリカイメンを探しに出かけたものと思われます。カイメンに潜り込むと再びイソギンチャクの姿になります。
この匍匐個体は水温の高い夏によく見かけるので、出現には水温が関係しているのかもしれません。
【飼育研究部 森滝丈也】