昨日は沖合底引き網漁船に乗船して熊野灘の水深170-310mで生物採集をしてきました。
久しぶりにカンムリヒトデスイクチムシがまとまって採集できました。本種は2017年に新種発表されたスイクチムシで、カンムリヒトデの胃の中に寄生するゴカイの仲間ですが、ヒトデに対して特に悪さをするわけではないようです。
さっそく、ヒトデとスイクチムシの共生展示を実現させるべく、死亡したヒトデから取り出したスイクチムシを展示水槽のヒトデに寄生させてみました。同様の実験は9月、12月に続いて3回目です。前の2回は餌のオキアミと一緒に胃の中に取り込ませましたが、今回はスイクチムシ単独です。
カンムリヒトデにスイクチムシを近づけると、ヒトデはすぐに管足を動かしはじめてスイクチムシを口の中に取り込む動きを見せました。
徐々に口から胃(噴門胃)を広げはじめ、完全に摂餌モードです。
そして所要時間は25分でスイクチムシはしっかりヒトデの胃の中に収まりました。思惑通り(笑)
今回実験に用いたヒトデの胃の中には9月に実験したスイクチムシが生存中なので、これで2匹目となりました(2匹の寄生は普通です)
餌がなくても、ヒトデはスイクチムシを取り込むことがわかりました。エサとして勘違いしているのか?他のヒトデでもスイクチムシを取り込もうとするのか?興味は尽きません。
【飼育研究部 森滝丈也】