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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

新たなトリカジカエラモグリの標本を展示しました。

先日、処置室の冷凍庫を整理する機会があったのですが、冷凍庫の中から私の記憶にないトリカジカ(深海魚)が2匹出てきました。

貼り付けてあった手書きのラベルを見ると、日付は2014年11月26日。

 

私がトリカジカから新種ウオノエであるトリカジカエラモグリを見つけたのは翌年の1月10日なので、その1ヶ月半前に入館した個体のようです(あとで確認したら、その日、私はちょうど台湾に研修旅行に行ってました)

おそらく、到着時に既に死んでいたけれど、貴重な魚なので捨てずにひとまず冷凍庫に入れておかれたのでしょう。

そしてすっかり存在が忘れられて2年半…

 

このトリカジカを見つけた時に、もしやと思い、すぐに確認しました。

すると、やはりいましたよ!

背中にトリカジカエラモグリ(未成熟個体)が4匹も!

おそらく、エラ(鰓腔)の中にいたトリカジカエラモグリ達が、冷凍庫の中で寒くなって這い出てきてそのまま凍ったのでしょう。

(未成熟個体は比較的活溌に動き回るようです)

 

続いて、期待に胸を膨らませつつエラ(鰓腔)の中も確認してみましたが、エラの中からは大きなメスが見つかりました!

寄生のようすがわかるよう、エラ蓋を切りはずしてみました。

これはかなり邪魔だろうね。

せっかくなので、この標本は寄生の様子がわかるよう、アルコールで固定して「へんな生きもの研究所」で展示することにしました。

これでトリカジカエラモグリの寄生の様子がより一層イメージしやすくなったのではないでしょうか。

 

ちなみに。

最近の研究によると(愛媛大学らの研究グループによる研究)、ウオノエ類は深海に生息する共通祖先からたくさんの種類が分かれてきたそうで、寄生する場所も最初はエラだったものが、次第に口、腹腔、体表へと広がっていったようです。

つまり、このトリカジカエラモグリElthusa moritakiiは 比較的古いタイプのウオノエ類だということになるそうです。

興味ある方はぜひ、へんな生きもの研究所までお越し下さい。

【飼育研究部 森滝丈也】

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