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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

熊野灘漸深海帯でレア生物をゲットしました

昨日は毎月恒例の熊野灘沖合底引き網採集に出かけてきました。

漁は日の出から日没まで。

日が長くなってきたので、昨日は早朝3時出港…帰港は夕方6時。

でも、やはり採集は楽しいですね。テンションが高くなっているからか疲れません(笑)

色々と珍しいモノを採集してきたので、その一部をご紹介~

まずは、【レア度☆☆】から。

メナガグソクムシ(左)とメダマウオノシラミ。一緒に採集したのは今回が初めて。

どちらの目がお好みでしょうか?ちなみに、メダマウオノシラミは鳥羽水族館採集した標本を元にして論文で和名が提唱されました。

 

続いて【レア度☆☆☆】のヨコヤホンヤドカリに共生するヨコエビの仲間(矢印)

水深180mで採集しました。

わかるでしょうか?

久しぶりのご対面です。

以前、ヨコエビの研究者に問い合わせたところ、Isaea concinnaではないか?との返事を戴きました。

Isaea concinnaの分布域は日本海~ベーリング海の水深17~89mで、カイメンを付けたヤドカリに付着すると報告されていますが、日本沿岸の分布は確認されていません。

記載論文を確認しましたが、熊野灘のとは体色が違うような…

記載論文ではIsaea concinnaの体色はライラック色(薄紫?)で目はダークバイオレット(濃い紫?)だと。

対して、こちらはむしろ黄色。

目は光の反射で銀色に光りますが、黒っぽいですし。引き続き調べていきます。

続いて水深300mから採集した【レア度☆☆☆☆】のウデナガゴカクヒトデのシダムシ(未記載種)

シダムシはヒトデの体腔に寄生する甲殻類で、日本から正式に報告されているのは3種類ですが、その他に未記載種が4種類ほど知られています。

これまでに熊野灘の漸深帯からシダムシの報告はありませんが、一昨年、3種の未記載種シダムシを見つけています(今、研究者と一緒に研究を進めています)

中でもこのウデナガゴカクヒトデのシダムシは昨シーズン280匹以上のヒトデを調べてもたった4匹しか見つからなかったレア種です。

今シーズンも既に220匹ほどヒトデを調査しましたが、これで昨シーズンと同じ4匹のシダムシを見つけたことになります(今回の個体は妙にチンチクリンでした)

だいたいこれぐらいの寄生率なのでしょうか?

そして最後に水深150mで採集した【レア度☆☆☆☆☆】

☆5つの正体不明ヒトデです。私は初めて見るヒトデで、見つけた時からピンと来るモノがあったのですが…

知り合いのヒトデ研究者に問い合わせたところ、その方から「これまた珍しいものを!私も見たことありません。文献あたってみます。」との返事をいただきました。

これは、もしかしたらもしかしますね。

期待が高まります(笑)

【飼育研究部 森滝丈也】

 

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