熊野灘水深200-300mの沖合底引き網漁船
今シーズン(9月~)は比較的頻繁に乗船させて頂き、生物採集を行っています。
1ヶ月に1回の頻度。
展示生物の採集と共に熊野灘の生物相調査でもあります。
今、特に興味があるのは寄生生物に季節変動があるのか否か。
例えば、ソコダラの一種トウジン属の鰓に寄生するウオノエの仲間(Elthusa propinqua )は10月には寄生率は12-35%もあったのに、11月の漁では宿主であるトウジンはたくさん捕れるもののウオノエの寄生率は極端に減少。
12月はさらに少なくなり、ウオノエが寄生したトウジンは1匹しか見つけることができず…
秋に寄生率が上昇するのでしょうか…
例えば、今月初めて見つけたのがカンムリヒトデに寄生するスイクチムシ。
カンムリヒトデは毎回のように多数が採集されますが、それに寄生するスイクチムシには今回初めて気が付きました。
12月の漁に同行するのは初めてでしたが、毎年この時期になると見つかるものなのでしょうか?
だとしたら興味深い。
また、同じ時に見つけたヤドリニナに寄生された深海ウニPrionechinus forbesianus
ヤドリニナの卵嚢(白く見えるもの)がたくさん付いていました。
実は、今年の1月に採集したウニにもヤドリニナの卵嚢がありました。
という事は、ヤドリニナの繁殖期(産卵期)は冬なのでしょうか?
そして、こちらはニチリンヒトデと共生している?ミズムシの仲間(甲殻類)
今年1月に採集したヒトデにたくさんミズムシがいましたが、なぜかそれ以降は全く確認されず…
ニチリンヒトデ自体はよく見かけるのですが。
ミズムシがヒトデに集まるのは季節に因るのでしょうか?
来月乗船したときに、このミズムシがニチリンヒトデからこのミズムシが再び見つかれば面白いのですが(期待)
なかなかサンプリングがままならない場所ですが、データが蓄積すれば何か面白いことが見えてきそうです。
【飼育研究部 森滝丈也】