へんな生きもの研究所で飼育・展示中の超珍種クラゲ「リプケア(Lipkea sp.)」
イソギンチャクにも見えますが、固着性のクラゲ(十文字クラゲ類の一種)です。
今年の5月にへんな生きもの研究所の水槽内で見つけましたが、これは3年前の千葉県の博物館に続く北太平洋で2例目の発見記録になります。
リプケアはこれまでに種名が確定しているのは地中海の2種、南アフリカの1種の計3種だけで、その生態の多くは謎に包まれています。
これまでに有性生殖は観察されていないそうですが、千葉県の博物館では無性生殖が確認されています(ちなみに十文字クラゲでは初めての無性生殖の報告になるそうです)
クラゲの基部が切り離されて小さな“肉団子”になり、これが「クラゲ」「中間型」「ポリプ」の3つの形態に成長するそうです。
さて。
最近、そのリプケアについて気になることがあります。
リプケアの傘の中に小さな白いかたまりが見つかることがあるのです。無性生殖で報告された“肉団子”に似ていますが、見かけるのはクラゲの基部でなく傘の中。
時々見かけますが、昨日は正体を確かめるべく回収を試みました。
ところが、傘の内側に付着しているのか、スポイトで吸おうとしても取れません。水流を吹きかけても位置は変わりません。
結局、回収はあきらめ、今朝あらためて見ると…無くなっています。
あぁやっぱりなぁ(予想はしていました…)
どうも、この白いかたまりはゆっくり外側に向かって移動しているようなのです。
過去の画像を見直してみました。
同じようなモノが写った画像が何枚も見つかりました。
例えばこれは6月1日、6日と20日の画像。
こうやってあらためて見直すと、傘の中央付近にある生殖巣あたりから外側に向かって移動しているように見えます(20日の画像ではすでに姿を消しています)
6日と20日の間隔があいてしまったのが少し残念ですが、やはりこの白いかたまりはゆっくりと移動しているように見えます。
何なのでしょう?組織がちぎれて無性生殖しているのでしょうか?あるいは…?
無性生殖だとしたら千葉県の博物館のものとはパターンが異なります。
…ということで、次に白いかたまりを見かけたら、クラゲの下にトラップでも仕掛けて捕まえてやろうと狙っています(笑)
【飼育研究部 森滝丈也】