ゴールデンウィーク真っ只中の5月2日にへんな生きもの研究所の水槽で見つかった十文字クラゲの仲間リプケア(Lipkea sp.)
先日ようやく報道発表にまでこぎつけることができました。
これは北太平洋で2回目の発見となる超絶珍種ですが、マイナーな泳がない固着性のクラゲ(十文字クラゲ)について説明するのはなかなか難儀しましたよ。
なじみの薄い生物をわかりやすく伝えることは難しいですね。
見つけた当初、リプケアの姿を「キキョウの花のよう」と表現しましたが、すぐに、より判りやすいだろうと「アサガオの花のよう」と書き換えたり…。
「餌はブラインシュリンプ(アルテミア)の孵化幼生です」と答えつつ、シュリンプと言ったらエビだと思われるかな…プランクトンのようなものとざっくりと表現するのが適当かなぁ…と迷ったり。
当たり前に使う餌の説明すらなかなか難しい。
さて。
その餌、ブラインシュリンプ(学名からアルテミアとも呼びます)は、広い意味ではミジンコの仲間、田んぼでたまに見かけるホウネンエビと近縁種です。
乾燥卵を海水に入れて一昼夜、孵化した幼生をクラゲや稚魚の餌に利用します。
幼生だけでなく、成長したものはイセエビのフィロソーマ幼生の餌になります。
こちらがその育ったブラインシュリンプ(アルテミア)
2匹がつながっています。後ろがオス。オスの第二触角はまるでゾウの鼻のように伸長していて、メスをしっかりとつかまえる把握器の役割があります。
この奇妙な姿…古代生物アノマロカリスのようでとても萌えます。
メスをがっちりホールドする姿は健気です。
へんな生きもの研究所で見ることができるのでぜひ(展示生物ではありませんが面白いですよ)
もう一つ。
謎のバナナムシ(仮称)、ここにきて事態は急展開。正体が明らかになってきました。
研究者からフェカンピア科に属する寄生性扁形動物ではないかという意見を頂いたのです。
ざっと論文を読みましたが、確かに形態、生態ともにそっくり。「バナナムシ(仮称)」はフェカンピアの仲間で間違いなさそうです。
まだ知られていない種類である可能性も高いので調査・観察は続きます…
【飼育研究部 森滝丈也】