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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

オウムガイの眼

オウムガイは「ピンホール眼」と呼ばれる構造の眼を持っています。

この眼は小さな穴(ピンホール)を光が透過する構造で、ある程度の形を見分けることが可能だと考えられています。

 

ピンホールカメラを手作りしたことがある方なら、同じ構造なので理解しやすいと思うのですが…最近は作らないかなぁ。

 

解像度が低くぼんやりしているものの、眼の構造からすればオウムガイは視覚情報を得ていると考えられます。

ただし、彼らは光がほとんどさし込まない深海に生息しているので、実際はものを識別できるほどではなく、明暗がわかる程度ではないかと個人的には考えています。

 

少々脱線しますが…

若いオウムガイは殻口まで模様がありますが、性成熟に近づくにつれて腹のあたりに白い部分が増えてきます。

【画像:孵化直後のオウムガイ】

 

これはつまり、真っ暗な深海でオウムガイのオスがメスを見つけて交接するためには、水中で目に付きやすい反射率の高い白い殻が有利に働くためではないか……(私の仮説)

いつかこれを確かめてみたいと考えています。

 

彼らはどんな風に周りを見ているのか…実際に体感したいですね(笑)

 

【画像:およそ4ヶ月頃のオウムガイの胚(矢印は眼)】

 

ところで、オウムガイのピンホール眼はレンズを欠くため、進化の過程でレンズを獲得してイカ・タコのようなカメラ眼になったと考えられてきました。

ところが、最近の鳥羽のオウムガイ胚を用いた研究の結果、オウムガイの眼はレンズを形成する遺伝子の発現が失われることで、元あったレンズが消失した可能性が示唆されたのです。

つまり、オウムガイの眼はレンズをつくる設計図はあるのに、作動しないために作られないということです。

 

…この結果が正しいとなると、眼にレンズを持っていたオウムガイの祖先は何らかの理由でそれを放棄したこということになります。

興味深いです。

彼らの眼の進化を考えるとワクワクします。

 

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