現在、水槽内で孵化したオウムガイ3匹(オス1、メス2)を展示していますが、既に性成熟に達して今年の2月から産卵が見られるようになりました。
とは言え、卵はほとんどが中身は無い不完全なものばかり。
2匹のメスのうち、産卵が始まった時点で成熟していたのは小柄な№150だったので、おそらく産卵したのは№150。この時、大柄な№149は明らかに未成熟でした(両者が孵化したのは同じ月ですが)。
その後何回かサイズの小さな不完全な産卵が続いていたのですが、9月に入ってそれまでとは明らかに違うしっかりとした卵が産みつけられていたのを見つけました。
ようやく№150が完全な卵を産むようになったのかと思ったのですが、もしやと思い№149を確認すると、いつの間にかこちらも成熟して産卵可能な状態になっていたのです。
さぁ、そうなると、この卵は大柄だけど晩熟な№149のものなのか、小柄な№150がようやく産み始めた良好卵なのか…?(その後、11月に入ってこの良好卵は2回、状態の悪い小さな卵も1回産み付けられていました)
先日、どちらが産卵したのか確かめるために2匹を隔離飼育する準備をしていたのですが…
ふと水槽をのぞいて、驚きました。答えがそこにあったのです。これです ↓何と今回は小柄な№150の殻に良好卵が産み付けられていたのです。
そうなると産んだのはもちろん№149の方。
どうやらこれまでの3つの良好卵も№149が産卵した可能性が高そうです。
ちょうど前日、日記で同じような話題を書き込んだ直後だったので、タイミングの良さに驚きました。
水族館生まれの2世オウムガイが産む卵は、回を重ねるたびに良い状態のものになってきているので、ホントに世界初3世の誕生に期待が高まってきました。(←日記に書くと実現するので、ゲン担ぎ )
もう一つ、オウムガイのディープなネタ。
オウムガイは触手の中央に口があり、メスではその下に卵を産み付けるための腕(infrabuccal apparatus)が、その下側に精包を受け取るポケット(valenciennes器官 ヴァランシエンヌ)が配置しています。そして一番下側に漏斗があります。
普段はinfrabuccal apparatusとvalenciennes器官は触手の奥に隠れていて目にすることはほとんどありません。
最近、オウムガイが色々な表情を見せるようになってきたので、その面白さにますますハマってきてます(笑)
【飼育研究部 森滝丈也】