先日の日記でも書き込みましたが、キンチャクガ二が手に持つ「カニハサミイソギンチャク」は、最近の研究で、どうやら、「カサネイソギンチャク」という全然形態の違うイソギンチャクと同じらしい、ことがわかってきました。
カサネイソギンチャクは水槽の中で勝手に増えているので、先日、潜水ついでに採集してきました。
少し陰になった死んだサンゴの骨格の上で見かけるので、ポキポキと枝を折っていると…
サンゴの骨格に穴を掘って生活しているようです。
すぐにホシムシの仲間だと気づいたのですが、どうも見たことがない種類。いや~ワクワクしますね、こんなのに出会うと(笑)
調べてみると…どうやら「タテホシムシの一種」です。やはり初めての出会い。
ホシムシは特有の長い吻をにゅ~と出し入れする姿がなかなか魅力的。見入ってしまいますね。いや、いたって正気です(笑)
このタテホシムシの仲間は、吻の付け根に角質化した「楯状部」を持つことが特徴。これが名前の由来のようです。楯状部はサンゴに穴を掘ったり、穴をふさぐフタの役割があると考えられているようですね。ちなみにこの楯状部の脇に肛門があります。
それにしても。
何の変哲もないように見える、死んだサンゴの骨格の陰にカサネイソギンチャクが世代交代を繰り返し、硬い骨格の中には、人知れずこんな魅力的な生きものが生活をしているなんて…実にエエですなぁ(笑)
時間が経って、安定した水槽の中は、こういった命がうごめいています。人工でありながら自然の海に近い環境です。
出来たてホヤホヤの水族館や、マメに展示替えばかりしている水槽だと、こういった生物は存在しません。
そんな彼らの存在が、目につかないけれど、水槽の底力(魅力)を増しているんだと、私は思っています。