1月に熊野灘の漸深海帯で採集した珍しいスイクチムシ Asteromyzostomum sp.の成長を観察しています。
この仲間はこれまでに北極から3種、南極から1種が報告されているだけなので(ちなみに、キクラゲのような姿ですが、ゴカイなどと同じ多毛類です)あらためて熊野灘の生物多様性はすごい!と感じます。(2020年に採集した個体)
Asteromyzostomum sp.はニチリンヒトデの歩帯溝に寄生します。ただ、これまでに何度か採集していますが、宿主であるヒトデ自体の飼育がなかなか難しく、いずれも短期間で共倒れになっています…。
今回、採集したヒトデはかなり状態良好ですが、立ちふさがる大きな壁がもう一つ。
実は、このヒトデはなかなかの偏食家。通常の餌(アサリやオキアミ、魚肉など)は食べないのです。過去に食べたのは深海ナマコのみ。
興味がある方は、過去の飼育日記をご覧ください。
ニチリンヒトデが摂餌した! – 鳥羽水族館 飼育日記 (aquarium.co.jp)
熊野灘のニチリンヒトデはナマコを食べているようです – 鳥羽水族館 飼育日記 (aquarium.co.jp)
この半年間、ヒトデは何も摂餌していませんが、寄生しているAsteromyzostomum 共々順調に成長中。
貴重な成長記録になりそうです。
初めて存在に気付いたのは3月でした↓
そして先月、6月の状態↓
【飼育研究部 森滝丈也】