深海コーナーのヌタウナギ水槽にキンシサンゴを展示しています。
キンシサンゴは太平洋など水深100~600mに分布する六放サンゴの仲間で、ラッパ(あるいは扇子)のような骨格を持ちます。この種類は単体性で非固着性のサンゴなので、通常は深海の砂泥地に転がって生活しているようです。
ところで、水槽の中で飼育していると、時々このサンゴが大きく軟体部を膨らませている姿を見ることがあります。キンシサンゴは生育条件が合わなくなると、軟体部に大量の海水を吸い込んで風船のように膨らむそうです。
どうやら、こういう風に体を膨らませれば水流を受けやすくなり、本来は自力で移動することができないキンシサンゴも快適な場所へ移動が可能になる、と考えられているようです。
ま、本当にそうなのか、深海で誰かその行動を観察したのか、少~し気になりますが(笑)。
本当だとしたらなかなか面白い行動ですね。実際、このままフワフワと浮かび上がりそうなほど軟体部を膨らませます。
そうそう、そういえば今朝こんな風景を見かけました。水中に浮かぶヤツデスナヒトデです(少し話は変わりますが)。
こんな格好ですが生きています(笑)。
実はこの水槽では水中の懸濁物を取り除く目的で、夜の間だけエアストーンを入れているのですが、どうやらこのヤツデスナヒトデは胃袋に空気を飲み込んでしまって(エアーストーンの上に覆い被さっていたからかも)結果、浮かび上がってしまったようです(笑)。
すぐにひっくり返して胃から空気を抜いたら、すぐに沈んでいきました。
まぁ、今朝の事例はアクシデントですが…実は、同じような仕組みでヒトデの仲間が移動していた例が知られているんですよ。
それは、東京湾で観察されたマヒトデの行動。体の中に気体を満たして水中や水上に浮上したマヒトデが潮流に乗って集団で移動していた、との報告があるのです。
もちろんこれは特殊な例で、通常の移動方法ではないとは思うのですが…(そもそも体の中の気体がどのように発生したのか、その組成などもわかっていないようですし)
それでも、一説では、飢餓状態がこの行動を引き起こすとも考えられているようです。