「バナナムシ(仮)」は本日マイナビニュースにも取り上げていただき、ぼちぼちと話題になりはじめています!
そのマイナビニュース内では「未だ正体不明」として紹介されていましたが、先週末あたりから急展開。
概ね判明しました。
どうやらバナナムシの正体は、寄生性扁形動物fecampia属(フェカンピア)の一種のようです(扁形動物…ざっくり言えばプラナリアの仲間)
なかなか興味深い生きものです。
ウミウシへの寄生報告は数少ないようですが、本種はクモガタウミウシの体内に寄生し、成熟すると体内から這い出してきます。
そしてcocoon(繭)を作ります。
この中に卵を産み、幼生が孵化するようです。水槽の中の繭もしばらくは要観察です。
そんなこんなでここ数日、フェカンピアに関する論文をいくつか読んでいるのですが、またまた面白いことが判明しました(…もちろん個人的に面白いだけですけどね)
その論文中でフェカンピアの繭と一緒にクロンボルギア(Kronborgia)の繭も図示されていたのですが…(フェカンピア属とクロンボルギア属は同じ科で、繭の形が異なります)
あれ?この繭どこかで見た記憶が…
…これって、2012年12月に飼育日記で紹介したあの謎生物と同じモノでは?aquarium.co.jp/diary/archives/5653
あぁそうだ、X-File入りしていた謎生物だ↓
おそらくクロンボルギアで間違いない。
バナナムシを糸口にして2年以上塩漬けになっていた謎も解決しました(笑)
このクロンボルギアもやはり寄生生物(ホストは不明)で、ホストの体内から出て繭を作るようです。
2012年に見つけた繭には卵がぎっしり。
その内の卵のひとつ↓
ひとつの卵の中に胚が2つ入っていることから扁形動物ではないか?と当時から予想されていましたが、そうかクロンボルギアというのか。
あぁスッキリした。
当時は孵化した幼生も記録していましたが、正体がずっと分からなかったのでモヤモヤしていたんですよね。
次はこれの成体の姿と、何に寄生しているかを確認してみたいです。
海産無脊椎動物の多様性、奥が深く、実に楽しいです。
【飼育研究部 森滝丈也】