先日、竹島水族館さんからタカアシガニなどと一緒にいただいた沈木にカガミモチウニがいくつも付いていました。
ご存じの方も多いかと思いますが、このカガミモチウニは熊野灘の水深280m以深に生息する深海性のウニ。
ウニとしては珍しく海底に沈んだ木を食べ、メスの上にオスが「鏡餅」のように重なる興味深い生態を持ちます。
これは以前撮影した画像です↓
初めてこの行動に気付いたのは10年ほど前。重なるのは繁殖に関係した行動だと推測しています。
気になる方はこちらもどうぞ2020-5カガミモチウニ
その後の観察で、ただ重なるだけでなく、メスの上でオスが意味ありげないくつかの行動を取ることにも気付きました(以下の行動名は私が勝手につけた仮称です)
例えば、棘を下げてメスを押さえつけるような【ホールド】
管足をピンと上に伸ばす【バンザイ】
棘を束ねて管足をさかんに上下する【ドラミング】
とりわけ【ドラミング】は産卵直前に見られた行動なので、産卵を誘発しているのではないかと睨んでいますが…果たして。
そんな不思議な生態をさらに解明したいと願いつつも、ここ数年は自力での採集が叶わず飼育はお預け状態でした。
今回、まとまった個体数を入手できたのでテンションが上がっています。
今回の個体サイズは小さめなので、まだ重なっていませんが、いつか興味深い生態を少しでも明らかにできたら、と思っています。
【飼育研究部 森滝丈也】