先日、へんな生きもの研究所で、珍しく這いまわるキンシバイ Nassarius glans nipponensis を見かけて思わず撮影しました。
この個体は何年か前に磯採集に出かけたりゅー氏から譲り受けたもの。ごく普通種ですが、現在、鳥羽水族館で飼育しているのはこの個体のみです。
おそらく腹を空かせて索餌中だったのでしょう。普段は砂の中でじっとしてほとんど動かないので、長い軟体部(腹足)を見る機会はほとんどなく、激レア。
もう少しこの奇妙な軟体部を見せてくれたなら、多少注目を浴びそうな気もします。
あとは貝殻がキレイなままでいてくれたら…
本来、キンシバイは、すべすべできれいな貝ですが…長期飼育中に表面がくすんでしまいます。それは貝殻の表面を覆う殻皮(キチン質の薄い膜)が時間と共に剥離してしまうから。
貝を長期飼育する上で残念ながら「殻皮の剥離」は避けて通れません。長く飼育し、尚且つ美しい貝殻をキープできれば良いんですけどね…
例えば、貝の中にはタカラガイの仲間のようにずっと光沢を持つグループもいます。これは殻皮を持たず、替わりに滑層を形成するからです。
ハツユキダカラ。まさに初雪
ただ、タカラガイは貝殻を外套膜で覆ってしまっているので、普段は美しい貝殻を見せてくれないのが悩ましいところ。
【飼育研究部 森滝丈也】