今回は昨年12月に三重県南伊勢町で採集されたオオフトトゲヒトデ属の一種に関する興味深い“事件”について紹介します。
このヒトデは自然界では専らカイメン(イシカイメン類)を食べているので、試しにチョコガタイシカイメンを与えてみると、すぐにカイメンに覆いかぶさりました。
無事に摂餌行動を確認して一安心したのも束の間、その数日後に驚きの事件が起こったのです…!
見ると、ヒトデがいる水槽だけではなく、同じ循環系にある水槽全てが黄色に染まっているではないですか!おまけにこの黄色く染まった水は他の生物に良くない影響を与えている様子…
これはカイメンの色素が溶け出したのか…?
すぐにカイメンを取り除いて全換水したのですが、その翌日も水槽がまた黄色に染まったのです。原因は一体…
偶然、お客様が撮影していた動画によって原因が判明したのですが、何と、ヒトデが噴出した赤褐色の液体が拡散して水槽の水が黄色く染まっていたのです!(画像はお客様から頂いた動画を加工しました)
噴出しているものはヒトデの排泄物のようにも見えます。何人かの研究者に確認してみましたが、誰も、ヒトデがこんな風に排泄物をまき散らすことなんて聞いたことも見たこともないとの返答でした。どうやら新知見のようです。興味深いので引き続き観察を続けます。
なお、他の生物への影響を考慮して、ヒトデは単独飼育に切り替えました。
【飼育研究部 森滝丈也】