先日、去年の秋生まれと思われる小さなチダイが入館しました(体長58mm)。よくよく見ると上顎にタイノエが付いているじゃないですか!うひょー!こんな小さなチダイに寄生しているタイノエなんて初めて見ました。
タイノエは魚の体表や鰓腔、口腔に寄生するウオノエ科の一種で、マダイやチダイ、ヒレコダイ、アカメバルに寄生することが知られています。他の多くのウオノエ類と異なり、口蓋側(上顎)に取り付くスタイルが特徴的です。
口にいるのは気持ち悪いだろうと、今回は取り除きましたが、よくよく見ると、何と!オスもいるじゃないですか!今回のタイノエペアはメスが体長14.0㎜、オスが体長4.4㎜でした。
ちなみに、ウオノエ類は水中を泳ぎ回ることができるマンカ幼生の時に宿主の魚に取り付きます。先に取り付いた個体がメスになり、遅れて到達した方がオスになると言われています。
今回のオスは体にまだ色素胞が残り、7対目の歩脚ができたばかりの様子(幼生は6対しか歩脚がありません)で、寄生して間がないようでした。
ちなみに、最近の研究によりタイノエの寿命は最長6年ほどだと考えられていて、大きな個体だと体長50mmほどにもなるそうです。そんなビッグなタイノエは大きなサイズの魚から見つかるので、皆さんも大きな鯛を食べる機会があるときは、是非大きなタイノエを探してみてください(見つけたら教えてくださいね)
【飼育研究部 森滝丈也】