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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

壁の作り方

今月1日に孵化したオオベソオウムガイM63

昨日、定例の身体測定をしたところ、殻は孵化直後から約8mm成長していました(殻に残った黒いすじが孵化直後の殻口の位置になります)。

殻は毎日少しずつ(0.2-0.4mm /日)作られています。

ところで、オウムガイは殻の内部が壁(隔壁)で仕切られています。

隔壁で仕切られた部屋(隔室)はオウムガイが排出するガス(気体)で満たされ、オウムガイの浮力を保っています(中性浮力)。幼体は隔室7-8個が完成したあたりで卵から孵化し、その後、成体になるまでに隔室を30個ほど作ります。

この隔室は数週間から数ヶ月ごとに増設されます。外側の殻と異なり、比較的早いスピードで一気に作り上げられるようです。そのため、材料不足にならないよう、オウムガイは隔壁を作る材料を腎臓(腎嚢)に貯蔵しています。

オウムガイの殻の隙間から中をのぞくと、腎臓(腎嚢)が見えますが、この白い部分が腎嚢に貯蔵しているリン酸カルシウム(矢印)です。

このリン酸カルシウムは少しザラッとした軟らかなクリーム状で、オウムガイはこれを血液中に溶かして短期間のうちに隔壁を作るそうです。

【飼育研究部 森滝丈也】

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