熊野灘の水深300m付近に生息するカガミモチウニは2個体が上下に重なる興味深い習性を持ちます(上がオス、下がメス)。重なるのはおそらく繁殖効率を上げるためでしょう。体外受精(放卵放精)で繁殖するので、お互いが近くにいる方が成功率は高くなるわけです。
深海に住むウニの仲間はっきりとした繁殖期を持たないようですが、オスがメスをキープしていれば、いつでも繁殖オッケー!
さて。
このカガミモチウニの学名はPrionechinus forbesianusですが、実はPrionechinus forbesianusという学名のウニは、オレンジ色と赤茶色(右)の2つのタイプがいます。
以前は赤茶色のタイプに別の学名(Prionechinus ruber)が付けられて別種扱いになっていました。
見た目の印象もかなり違っているし、重なるのは決まって同じ色同士なので、違う種類に思えますが…今はこの体色の違いは個体差(変異)でどちらも同じ種(Prionechinus forbesianus)ということになっています。
ちなみに、和名「カガミモチウニ」は、こちらのオレンジタイプの標本を基に提唱しました。でも、赤茶色のタイプも「カガミモチウニ」と呼んでいただいて大丈夫です。
【飼育研究部 森滝丈也】