展示生物の採集はもちろんですが、今年も研究者の方々といくつかの共同研究が進行中なので、今シーズンも定期的に熊野灘の沖合底引き網漁船に乗せていただいて生物採集に出かけています。
目的のひとつはシダムシ探し。シダムシはヒトデの体内に寄生する甲殻類です。採集したヒトデが死ぬと中身をチェックするようにしています。
2015年の調査では寄生率が30%を超えていたのですが、昨シーズン見つかったのは1匹だけ。ユミヘリゴカクヒトデ自体、あまり数多く採集できないので、寄生率が高くてもなかなか難しいようです…
今シーズン確認したヒトデは3匹ですが、まだ見つかっていません。
それが、 本日、死亡したユミヘリゴカクヒトデを調べていると…
おぉ!いましたよ。見てください!シダムシの体の一部がのぞいています!
赤い部分がシダムシ。
ヒトデの背面を切り取ってグレーの消化器官(幽門盲嚢)を取り除きます。
今回は2匹が寄生していました!
ちなみにシダムシはこんな姿をしています(2015年採集個体)
寄生されたヒトデはすぐに弱るわけではないようですが、生殖腺の発達は抑制されます。それにしても体の中にこれだけのシダムシを抱えて生きていくのは大変だと思います。
という訳で、今シーズン初、1年ぶりのユミヘリゴカクヒトデのシダムシの遭遇となりました。これで通算、15、16匹目になります。
【飼育研究部 森滝丈也】