こんにちは、ともちゃんです。
動物と人は会話できないと書いた前回。
ともちゃんが思うのは「会話はできないが意思疎通はできる」ということ。
人間の言葉は動物には通じません。動物が鳴いている意味は人間には分かりません。でも、意味は分からずとも互いに伝え合うことはできます。
飼育員になって間もない頃、アシカに倒立の指示を出したのに倒立をせずに鳴き始めたことがありました。何度やっても鳴いてくるだけ、他の指示には反応するのに…。
夕方のエサの時間にゆっくりボディチェックをしたところ、両前肢の裏に切り傷がありました。倒立は両前肢を使って体を持ち上げます。これが原因だったのかなと、初めてそこで気が付きました。傷が治るとまた倒立ができるようになりました。
動物は何かを伝えていたつもりが僕はそのちょっとした異変に気づけませんでした。一つ一つの行動には全て意味があります。「前足の裏が痛いから倒立ができない」とアシカ語で鳴いていたかもしれません。アシカ語は今でも分かりませんが「もしかしたら◯◯かもしれない」という選択肢を僕に教えてくれたのです。
トレーナーは、どんな些細なサインも見逃さずに色んな状況に対応していく力が必要なんです。
つづく
【飼育研究部 ともちゃん】