前回の熊野灘沖合底引き網採集で水深300mから採集したゴカイの仲間 ノトリア(Nothria)
正面顔はこちら。
そして、どうやら このノトリアはまだ名前が付けられていない未記載種であることがほぼほぼ確実になってきました。
これは面白くなってきましたよ!
また、既にお伝えしていますが、本種は深海性であるにも関わらず、枯れ葉を使って営巣する習性を持つようです(筒状の巣を作ります)
これは他のノトリアでは知られていない 際だった特徴のようです。
実に興味深い。
採集場所は雨の多い尾鷲地方の沖合なので、山から流されてきた枯れ葉や小枝が堆積しているのでしょうか。
さて。
研究者さんからの要望もあったので、本日、見回りついでに巣作りの様子を動画撮影できないか試験をしてみました。
筒状の巣からノトリアを取り出して、枯れ葉と一緒にしておくと…
しばらく動き回ったあと、期せずして再び元の巣へ戻っていきました。
帰巣本能があるのでしょうか。
でも、営巣行動を観察しやすいように、あらかじめ巣をカットして短くしておいたので、周囲の枯れ葉を使って営巣する様子を観察することができました。
簡易なものでしたが、動画の撮影もとりあえず成功。
短い疣足(いぼあし)を使って巣作りする姿は萌えますね(枯れ葉の小片を抱えています)
(この画像を同僚に見せても賛同は得られませんでしたが…)
また、巣から取り出した時に観察すると、体内に卵がいっぱい!メスだったのですね。
そんなNothria sp.
まだまだ魅力は伝えきれていませんが、実物の動きを見たらきっと好きになるはず!
皆さんも好きになって下さい(笑)
【飼育研究部 森滝丈也】
追記:後日、この枯葉を使って営巣する多毛類は、Nothria属ではなく、クシエライソメ Anchinothria cirrobtanchiata であることが判明しました。2017.6.12