先週末は棘皮動物研究集会参加のため東京出張、戻ってすぐに研修旅行で広島へ…お久しぶりの飼育日記更新です。
今回は、以前にも紹介したお気に入りカイメンの話題(へんな生きもの研究所で飼育中)
このカイメンは今年の春、熊野灘の水深250-300mで採集されて水族館に搬入されましたが、枝分かれした先にある丸いからだが なかなか魅力的でした。
水族館の目の前にある菅島には名古屋大学の臨海実験所があり、そこのカイメン研究者さんが「こんなカイメンは見たことがない、きっと珍しい種類だろうから調べますよ~」と声をかけてくれたので、その言葉に甘えて枝の一部を切除してサンプリングしたのは5月のこと…
ところが、調べてもらっている間に、カイメンの調子は徐々に悪くなっていきました。
どんどん痩せていき、ベルベットのような体が軸と同じつるっとした質感に…
このままダメになってしまうかもしれない…カイメンの長期飼育はやはり難しいのか、と思っていました…
ところが今日、久しぶりに水槽を見て驚きました。
明らかにカイメンの質感が変化していて、いつの間にかふっくらとしているじゃないですか!
最近、飼育水温が8℃台に落ち着いてきたので復調したようです。
夏場は室温上昇につられて水槽の水温が高めに推移していたのですが、今思えばこれが良くなかったようです。
このまま完全復活してもらいたいものです。
そして肝心のカイメンの種名ですが、種名までははっきりしなかったものの、ジクネカイメン属の一種(Rhizaxinella sp)だと判明しました。
同じ仲間で日本から知られている種類はこのように枝分かれしていないようで、このカイメンはやはり珍しい種類のようです。
【飼育研究部 森滝丈也】