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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

いかにしてメバルは釣れるのか

釣りバカ飼育員つじです。

先日館内で、あのメバルはお兄さんが釣ったのですか?と言われました。

直接言われると、嬉し恥ずかしいですねw

さて今回は、宣言通り、メバルはどのようにして釣れるのか?について書いてみたいと思います。

まず、冒頭でお伝えしておきたいことがあります。

それは、「メバルは様々な餌を食べる」ということです。

分かりやすいようにブリと比較してみましょう。ブリは魚食性です。

イワシやアジなどの食物連鎖の下層に位置される魚類やイカを捕食します。

一方でメバルは、雑食です。

稚魚(魚類)をはじめ、エビカニの幼生、ミミイカなどの小さなイカ、ヘラムシの仲間・・・

などなど、数えだしたら切りがありません。

上記の数々の餌は棲んでいる環境が各に違うため、メバルが捕食するシチュエーションは

食べているものの種類の数だけ存在するということになります。

すなわち、

メバル釣りには様々なパターンが存在するということなのです。

全ては紹介しきれませんので、今回はおいない!伊勢志摩の海展のために私がメバルを釣ったパターンを紹介します。

閉館後の採集であったために、夜間釣査を行ったのですが、大半を

このように常夜灯の明かりが海面を照らし出すようなところで行いました。

こういった場所は、走光性(光に集まる習性)を持ったプランクトンが集まってきます。

それらを捕食するために様々な生物が集まり、もちろんメバルも集まってきます。

魚は主に3つの情報を取り入れながら、物事を判断します。

水流、臭い、光

メバルの場合、光に頼る部分が大きいと私は感じています。まあ、あの大きな目が物語っていますね。

では、この「光」について掘り下げていきます。

常夜灯の光は、太陽光とは少し違います。

太陽光は、光源が太陽です。地球と太陽はとても離れているために、地球へ到達する頃にはほぼ平行になっています。

一方で常夜灯は、高くても地上4~5mに設置されています。光は放射状に広がりながら進みます。

今、餌となる生物がわらわらと常夜灯の光に集まって水面近くへ集まってきたとします。

それを下から覗いているメバルにはどのように見えているでしょうか?

ここで今回最大のキーワードが登場します。

「光の屈折」です。

屈折とは、異なる媒体へ光が突入した時に、その境界面で進行方向が変わると言うこと。

つまり、餌となる生物に常夜灯から放射状に発せられた光が当たると色々な角度に屈折します。

メバルからすれば、「何かあるな?」っとなるわけです。

その何かが、餌であり、その何かにルアーを擬態させればメバルが食らいつく。

となるわけです。

こちらは常夜灯下で活躍するルアーです。

色々な大きさや形状がありますが、今回は色について着目します。

透明、白、発光、色々とありますが、これを状況に応じて使い分けます。

例えば、メバルの餌の一つであるイサザアミ。

こちらは上からライトをイサザアミの群れに当てた様子です。

透過した光がうっすらと影となっているのが分かるかと思います。

これこそが、メバルが餌を捕食する為に得る、情報の一つなのです。

水中におけるルアーをメバル目線で下からのぞいてみましょう。

透明色。光はルアーの境界面で屈折し、中心は透過しています。

半透明色

薄い茶色。

色が変わると違って見えます。

その日の海水の色や、また常夜灯の光の色(白やオレンジ)

でメバル側からも見え方が違ってきますので、

その日のイサザアミはどのように光を屈折させて、どんな風にメバルから見られているのか。

どんな色が今日のメバルには見やすいのか。

マッチする色をこちら側が探し出していくことがこの釣りでは最重要ポイントとなるのです。

一見、閉館後に楽しそうに採集している様に見える私ですが、、、

釣りバカ飼育員の頭の中は、こんなことが四六時中駆けめぐっています。

今回のおいない!伊勢志摩の海展では、90cm水槽をメバルで展示するというミッションがあったので、

ほんの少しだけ、ほんとにほんの少しだけではありますが、釣りバカ飼育員脳をご紹介しました。

飼育研究部 つじ

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