スイクチムシ…それは主にウミシダに外部寄生するパラサイト。
見かけからは想像つきませんが、実はゴカイやミミズ、ヒルなどと同じ環形動物の一員です。
170種ほどいるほとんどがウミユリ類(ウミシダ類)から見つかっていますが、ごく一部(12種ほど)がヒトデ、クモヒトデ類から報告されているそうです。
日本国内では漸深帯のヤマトホシヒトデの内臓(幽門盲嚢)に寄生するスイクチムシの一種(未記載種)が知られています。
飼育日記で紹介しましたが、最近私もウデナガゴカクヒトデとヒメヒトデの一種の幽門盲嚢からスイクチムシを見つけました(これも未記載種である可能性が高いと思われます)
以上は全て同じ海域に生息するヒトデです。
まだ見つかるかもしれない…と思っていたら、本日見つけましたよ!
実は、本日、沖合底引き網漁漁船に乗船させてもらい生物採集をおこなっていたのですが、水深200~300mで採集したカンムリヒトデの口元に見慣れないものが見えていることに気付いたのです。
最初に見つけたのは、腕が全部ちぎれおちたカンムリヒトデの盤でした。…これってまさか。
確認すると、確かにスイクチムシ。
カンムリヒトデから寄生の報告は無かったはずです。
このスイクチムシ、これまでに見つけたものとは姿、大きさも違う。
何と言ってもこれまでのものは全て体腔内に寄生していたのに、これは胃の中に寄生しているようです。
水族館に戻ってきてから採集した8匹のカンムリヒトデから9匹のスイクチムシを取り出しました(1、2匹づつ寄生しているようです)
カンムリヒトデ自体は特に珍しいヒトデではなく、いつもまとまって採集されますが、これまでにこのスイクチムシの存在には全く気が付きませんでした。
目立つはずなのに不思議です。
季節によって寄生率に変動があるのでしょうか?あるいはこのスイクチムシの生息場所が局地的なのでしょうか?
ヒトデに寄生するスイクチムシとして、熊野灘から日本産4種類目を発見!…となるかもしれません。
【飼育研究部 森滝丈也】