三重県、熊野灘の沖合底引き網漁船に乗せていただき、生物採集に出かけています。
今年は色々とミッションがあり、月1ペースの頻度。
展示生物の採集はもちろんですが、目的のひとつはシダムシ探し。
ここでもたびたびお伝えしていますが、シダムシはヒトデに寄生する甲殻類(フジツボに比較的近縁)です。
日本から正式に報告されているのは3種類ですが、その他に未記載種が4種類ほど知られています。きっとまだまだ知られていない種もいるはず…
今年は深海(漸深帯)に生息するゴカクヒトデの仲間、ユミヘリゴカクヒトデにシダムシの寄生を初めて確認しました。
ピンクのものがシダムシ。ヒトデの体腔のほとんどを占めています(ヒトデの死後に解剖)
今は、シダムシの追加標本と寄生状況確認のために(あわよくば展示も視野に…)乗船しているのですが…
ユミヘリゴカクヒトデは9月に採集 できただけで、10月、11月は空振り…採れません。
実は、9月とそれ以降の2回では漁をおこなった海域が違っていました。
また、10月と11月はひとつ手前の深さで網を引いていたので、ヘリゴカクの生息する水深に達していなかったのかも知れません。
さて。
9月以降手に入れた計11個体のユミヘリゴカクヒトデを死後に解剖したところ、シダムシが寄生していたのは6個体。
今のところ、寄生率は54% 意外と寄生率は高そうです。
シダムシの枝分かれした外套の中には卵(幼生)が詰まっています。
美味しそうなので、少し口にしてみましたが…生臭かったですね(笑)
【飼育研究部 森滝丈也】