セノテヅルモヅルの成体に時々幼若個体が付着していることがあります。
本当の親ではなくても成体であれば取り付き、成体から餌を横取りしているようです。
また、取り付いている間は他の個体へ移動することは滅多になく「同種間の寄生」のような行動に思えます。
私はこの行動を勝手に「すねかじり行動」と呼んでいます。
2012年の秋に入館した幼若個体、通称「モヅ子」は、取り付く相手(成体)が死んでも別の相手に取りつき、この、すねかじり行動を丸2年半継続中。
今取り付いている相手で5代目になります。
基本的に他の相手に浮気することはなく、同じ個体に「べったり」。
それが先日の火曜日、なぜか別の成体に移動していることに気が付きました。
…珍しい。
このまま引っ越しするのでしょうか。
(実は、取り付いていた相手が衰弱してきたときなどに引越しすることが、これまでにも観察されています)
本日、休みをはさんで3日ぶりに確認しました。
…あれ?「モヅ子」はフツーに元の成体に戻っていました。定位置である、成体の口側につかまっています。
成体の状態も、特に問題はなさそう。何だったんだろう…?
…が、ひとつ大きな変化が!
成体にはもう1匹、「モヅ子」と同サイズの幼若個体も取りついていたのです!
この個体は4月に入館した3匹のうちのひとつ。
ずっと単独生活でしたが、ここにきてなぜか「すねかじり行動」開始。「モヅ子」と反対側、成体の背側に抱きついています。
同じ水槽には別の成体もいるのですが、こちらには付着せずにモヅ子と一緒にすねかじり。
この成体がすねかじりに適しているということなのでしょうか。
それにしても、2匹にすねかじられて、さすがにこれはちょっと負担が大きいんじゃ…と少し心配。
(追伸)すねかじり行動を始めるきっかけについては、もしかしたら…の大胆仮説を思いつきました。今後検証したいと思っています。
【飼育研究部 森滝丈也】