先日、近海産のヤギがまとまって入館しました。
ヤギは刺胞動物の一群で、広く言えばイソギンチャクやサンゴに近い仲間。樹状の骨軸にたくさんのポリプが並んでいます。
このヤギの枝にはごく稀にカセミミズやシタナシホソヒモの仲間が絡まっていることがあるので、手にしたらいつも枝の一本一本、注意深く探索しています。
そうなんです。個人的に好きなのですよ、カセミミズ(ホソヒモ)類が。
そのカセミミズやホソヒモの仲間(溝腹類)ってのは、貝殻を持たない原始的な軟体動物の一群で、その名の通りミミズのような姿をしています。
で、先日もいつものように探索していたら…
お!ヤギに絡みつくそれっぽいものを発見!
こ、これはホソヒモ類か?期待が膨らみます。
太さ0.5mmほど。でも肉眼ではっきりとは判別できなかったので、閉館後に顕微鏡で観察してみました…↓
結果…残念!
カセミミズ(ホソヒモ)類ではありませんでした。
どうも、正体はクチクラ質ぽい管で、何かの卵嚢のようです。
この卵ひとつひとつの径は約0.08mm(80μm)。
さらに、拡大して見てみると…おぉ!卵はかなり発生が進んでいてもう数日後には孵化しそう。
胚が卵の中でうねうねと動く様子が見てとれます。
どうも、見た感じでは細長いナガムシ状ですね。で、肝心の、何の卵か?という謎は…結局今のところ不明なまま。
カセミミズ(ホソヒモ)類であれば嬉しいのですが、少なくともカセミミズはこんな卵ではないし…
線虫の仲間かなぁ…
ま、孵化すれば、何とかわかるんじゃないか?と今後に期待です。
こんな感じでワクワクしながら顕微鏡見ていたら、新人りゅー君が「何見ているんですか?」と興味津々に尋ねてきましたね。
いつもそうなのだけど、私が熱心に見ているものはだいたい一般受けしないモノなので、簡単に一言で説明するのって難しいんだよなぁ(笑)